(国土技術政策総合研究所より)
①どうがの車をぶつける実験は、【衝突試験(しょうとつしけん)】といいます。【衝突試験】は、【車両用防護柵(しゃりょうようぼうごさく)】を新しく作ったり、よりよくするための実験です。
なお、【車両用防護柵】のことを多くの人は【ガードレール】といいますが、【ガードレール】は、いくつかある【車両用防護柵】の一つです。ここでは、わかりやすくするため【ガードレール】の名前で説明します。
ガードレールは道路の自動車が走る部分とそれ以外の場所を分けるように置かれていて、もし、自動車に乗っている人が運転をあやまってしまっても、人がケガなどをしないようにしています。しかし、ガードレールが、とても強く、がんじょうだと、自動車がぶつかったときに自動車がこわれすぎてしまい、乗っている人は大きなケガになってしまうかもしれません。そのため、ガードレールに自動車がぶつかったときには、ガードレールも上手にへこんだり、曲がったりするようにしています。
また、ぶつかった自動車がガードレールではね返ってしまい反対の車線にはみ出して反対から来た自動車にぶつかったりしないような工夫もしています。
なお、当然ですが、人が歩く部分に自動車が入って来ないようにすることで、歩道を歩いている人も守っています。
このようにガードレールは、たくさんのことを考えて作りますが、自動車に乗っている人、反対車線を走っている自動車に乗っている人、そして歩いている人など、いろいろな人の大切な命を守ることができるかをたしかめるために、実物を使って実験しています。
②まず、VRで実験ができないのか、にお答えします。
おそらく、ここでの【VR】は、コンピュータ等を使えば、車がこわれてしまうような、もったいない実験をしなくても良いのではないか、という意味だと思いますので、その意味でお話します。
新しいガードレールを作ったり、今使われているガードレールをよりよくしたりしたいときには、いきなり実験をするわけではありません。
まずは、どのようなガードレールを作れば良いか、どこをよくすれば良いかを、考えます。
また、それを作るための材料は何が良いかを考えます。
そして、考えたものを作ってみて、作ったガードレールをゆっくりおしてみたり、反対に引っぱってみたり、という、基本的な実験をします。
そして、最後に【衝突試験】を行います。
前の回答にも書きましたがガードレールは人の命を守るための大事なものです。
そのため、車がぶつかってしまったときにも、考えたとおりになるかを実物を使ってたしかめているのです。
実験に使ってこわれてしまった自動車については、次であわせてお答えします。
③衝突試験でぶつけた車は、しゅう理せずにそのまま、すててしまいます(廃車にします)。
本当にもったいないのですが、すててしまいます。
どうしてなおしてくり返し使わないのでしょうか?
衝突試験ではガードレールに自動車をとても早いスピードでぶつけます。
そのため、車の外側がへこんだりするだけではなく、車全体を形作っているほね組が曲がってしまったり、タイヤがスムーズに動かなくなってしまったりします。
そのような車をなおしても、まっすぐ正しく走らせるようにすることはとてもむつかしいです。
また、がんばってなおし、次の衝突試験に使っても、その車がキチンと走ったのかがかわからないため、ガードレールの実験がキチンとできたかもわからなくなってしまいます。そのため、一度使った自動車はなおすことなく、すててしまいます。
なお、衝突試験に使う車は、中古車を買ってきて使いますが、このときも大きなじこを起こしてしまった中古車は買いません。
ちなみに、衝突試験をするとき自動車にはだれも乗っていません。だれも乗っていない自動車はどのように動かしているのでしょう?
実は、自動車のエンジン等のそう作は一切していません。自動車を長いロープで引っぱり、思ったスピードでガードレールにぶつけています。